破産の申立

破産申立時に持参する書類

多重債務の相談・破産申立を司法書士・弁護士等に依頼するときは、次の書類 を持参するよう心がけたい。
心身ともに疲労している状態で相談を受けるとき は頭脳が錯綜して、見落としや間違いがあるかもしれず、また相談を受ける方 にとっても時間の節約になります。

全員が持参するもの
戸籍謄本又は外国人登録証明書(謄本ー家族全員が記載されているもの)
住民票謄本(世帯全員・本籍、続柄の省略がないもの)
債務者本人の学歴・職歴を記載したもの(履歴書が便利)
債権者一覧表(債権者の氏名・郵便番号・住所・電話番号・残債務を記載)
建物賃貸借契約書、入居証明書(県・市営団地等)居住証明書(他人の住居に住んでいる場合ー所有者による証明)
預・貯金通帳(2年分ーすべて記帳済のもの)
債務者の給料明細書(2ケ月分)同居人の給与証明書(1ケ月分)
源泉徴収票・所得証明・課税証明
サラ金・クレジット会社より送付された一切の書類・カード

該当する人が持参する書類
退職金見込額証明書(5年以上勤務の場合)
生命保険・損害保険証書、解約返戻金証明書
自動車車検証、自動車査定書(登録5年以内のもの)
不動産登記簿謄本(債務者又は家族所有のもの)固定資産評価証明書
年金受給証明書(債務者・家族全員)
生活保護受給証明書(債務者・家族全員)
児童扶養手当受給証明書
診断書(病気・ケガ等が破産の原因である場合)
納税申告書過去3年分(債務者が事業主の場合)
訴状、判決、支払督促、執行証書
過去の破産決定書・免責決定書
家族・債務者経営の会社の破差決定および破産申立書
過去2年以内に不動産を処分した場合(登記簿謄本・固定資産評価証明書・売買契約書・処分代金の使途明細書・領収書)
5年以内に高価品(30万円以上)を購入した場合(品名・金額・存否・処分方法・処分代金を記載した書類・領収書)
過去1年以内に退職した場合(退職金支払額証明書・退職金使途明細書・領収書)
過去2年内に離婚した場合(財産分与の有無と明細を書いた上申書・使途明細書・領収書・調停証書・公正証書)
過去2年内に財産の相続を受けた場合(相続した財産の明細・存否・処分先・価格・使途明細を記載した上申書・領収書)

破産宣告の申立書

破産宣告の申立書式を次に記載します。
実際は専門家の援助を受ける方が、債務 者にとっても安心なのですが、種々の理由で専門家の援助を受けられない場合は 参考にしてください。


                      破産宣告の申立
本籍 00市0050一番地の1
郵便番号 000ー0000 住所 00市00町5丁目11番14号
      申立人(債務者)甲野花子

           電話番号 000−000−0000               申 立 の 趣 旨
債務者甲野花子を破産者とする。
との決定を求める。

申 立 の 理 由

一、申立人の経歴・家族関係
申立人は昭和00年0月00日00郡00町で父乙野一郎母乙野聖子の長 女として出生し、昭和00年3月00市立00中学校を卒業後、直ちにコロ ンバン(00市)に入社し、ケーキの販売、喫茶部門のウェイトレスとして 稼働し、同社に昭和00年0月まで勤務した後、出産のため同社を退社し、 その後育児と主婦業に従事したが、昭和00年0月子供もやや手を放れたの で、自宅にて0000クリーニングの取次店を、申立人の夫甲野乙雄の兄嫁 甲野淑子と共同で始めた。しかしながら後述するよう、代金の回収がうまく いかなかったり、クレームが多く、その処理に頭を悩ましたりしたりして、 同取次店を平成0年0月閉鎖し、同年0月より「0000」(00市)に店 員として勤務したが、同店も同年0月にやめ、就職口を探したがなかなか見 つからず、ようやく同年0月より000工業(00市)にパートタイマーと して入社、収納家具の梱包に従事し現在に至っている。
申立人は、昭和00年00月、甲野乙雄と婚姻し、同人との間に長女00 (昭和00年0月00日生)二女00(昭和00年0月00日生)を双子と してもうけたが、二女00は同年0月00日死亡し、昭和00年には三女0 0(昭和00年0月00日生)をもうけ、現在住所地で親子四人で暮らして いる。

二、収入と生活状態
申立人は既述のとおり、現在パートタイマーとして勤務しているが、月5 万円程度の収入にしかならない。夫甲野乙雄は会社員として勤務し、月30 万円程度の収入があると思うが、後述するよう、同人は食費としてわずかば かりの金員を申立人に渡すのみで、家賃等他の支払は全部同人が行っている ので申立人には正確な収入がわからない。長女00・三女00は、各中学 生・小学生で当然に収入はない。
一方申立人には、サラ金各社に多額の負債があり、この返済金を、申立人 のパートでの収入及び乙雄より渡されるわずかばかりの金員を節約して捻出 しているが、利息のほんの一部に充当されるだけで、返済資金にはほど遠く、 生活は困窮を極めている。
また乙雄の父甲野00、申立人の母丙野乙子からは、既に多額の援助を受 けているので誰からもどこからも援助を受けられる見込みはない。

三、多額の負債を負うに至った経緯
前述の如く申立人は昭和00年より0000クリーニングの取次店を、申 立人の夫甲野乙雄の兄甲野00の妻甲野佳子と共同で開始したが、当初から、 経営が順調にいっているとはいいがたかった。申立人らは、甲野00所有の 住居を賃借しており、そこで取次店を開始したが、月々の純益は10万円を 少し超えるぐらいで、それを兄嫁甲野佳子と折半するので実質収入は5万円 ぐらいのものであった。それでも何の収入もないよりましと精を出したが、 子供二人をかかえ、家賃を支払うと家計は慢性的な不足状態が続いた。
夫乙雄は、よくいえば男気の勝る性格といえ、同時に悪くいえばワンマン であるといえるが、家計の状態を申立人と相談して、家計の状況に則した生 活をするというタイプではなく、独断専行することが多く、その中で家計の やりくりを十全にするのが女房のつとめであると堅く信じている人間であっ た。また子供に対しては、極めて子煩悩であり、溺愛していた。
右のような家庭事情の下、申立人家族は平成0年0月、以前より計画して 子供たちも楽しみにしていた家族旅行に行くことになった。
当時乙雄の給料は手取り20万円程度で、申立人の収入は、前述の如く5 万円程度の合計25万円で、その中から家賃・電気代等・保育園の保育料 ・給食費・夫の小遣い、車のローン及び食費ならびに子供の習い事(000 音楽教室)等を差し引けば手元には全然残らず、家計のやりくりは大変であ ったが、子供も8歳と5歳になり、家族そろっての旅行ははじめての経験で あり「家計が大変だから中止」とは夫の手前どうしてもいえず、また楽しみ にしている2人の子供の顔を見るにつけ、到底言い出せなかった。旅行は2 泊3日の日程で00地方にいき、親子4人総額で12・3万円程度の出費と なってしまった。この金員は全額当月の収入でまかなったが、生活費に不足 をきたすこととなり、平成0年0月、00で20万円の借入をおこさざるを えなく、これらは全額生活費に消えた。
元々慢性的に生活費が不足する中、今後は高利のサラ金の返済もしなくて はならず、申立人の家計は(充分に認識できていなかったが)徐々に逼迫し ていった。 しかしながら、乙雄は徐々に逼迫していく家計の深刻さを全然 感じておらず、また元来親分肌の人間であるので、来客も多く、そのビー ル・つまみ代等の出費もかさみ、特に乙雄の学校時代の同窓生は、1週間の 内に何日も入り浸りとなり、その出費も馬鹿にならず、家計は益々苦しくな ってきた。乙雄に対し申立人が愚痴をこぼすと「家計をうまくやりくりする のが女の仕事だ」と取り合ってくれず、しかたなく生活費の不足を補うため サラ金に手を出さざるをえなかった。
また申立人らの、クリーニングの取次店も種々の問題が生じてきていた。 すなわち取次店の、料金の受け取りは、客が洗濯物を持参したとき、その代 金を前払いで受け、0000クリーニング本部へ伝票を送付(洗濯代金はあ る程度まとまったところで伝票に基づいて支払う)し、洗濯の依頼をするの が原則であるが、客とある程度の顔見知りとなると、この金銭の授受がルー ズとなり、前金を受領しないで、伝票を切って洗濯物を回したり、ある一定 の期間まとめて請求することが多くなった。この場合もできあがった洗濯物 を渡すとき代金を受領すればよいのであるが、顔見知りとなると「代金をも らわなければ洗濯物を渡せない」と強くいうこともできず、「まとめて払う から」という客の言を信じ、最終的に代金を回収できない場合が度々出てき た。また洗濯物の紛失等の事故も続き、元来このような事故は0000クリ ーニングが責任を負うべきであり「取り決め」もそのようになっていたが、 会社に再三再四請求しても、クレームが多発していたらしく、支払おうとせ ず、結局客に責められて、申立人らが負担せざるをえなかった。
クリーニング取次店が、右ような状態でほとんど利益を出せなくなってい たので、申立人は閉鎖しようと考えたが、取次店の営業場所が、現在も賃借 している乙雄の兄甲野00の所有で、同人の配偶者も前述の如く共同経営と いうことになっていたので、同人は、この取次店で家賃相当分(月5万円) を稼げと厳命し(同人はなぜかわからぬが申立人に対して非常に厳しい態度 で臨んでいた)ていたので止めるに止められず、ぐずぐずと平成0年まで続 けた。
申立人の収入が、右のような次第で、ほとんど計算できなくなっていたの で、家計は益々火の車となり、当時家計一切をまかされていた申立人は、サ ラ金等の返済資金を用立てるため他のサラ金から融資を受けるという悪循環 に陥り負債は雪だるま式に増加の一途をたどった。
平成0年0月、サラ金等の返済が遅れ、厳しい督促電話が頻繁にかかりは じめ、事態を察知した乙雄に窮状を打ち明けたところ、同人は激怒し、「男 がいるのではないか」あるいは「充分な生活費を渡しているのにどういうこ とか」と申立人に打擲を加え、激しくなじった。しかしながら申立人は、華 美な服一つ購入したことはなく、また友人と遊びにいったこともなく、男性 の存在など論外で、やましい思いはない。もちろん申立人の管理能力の欠如、 夫婦でありながら、いつもおどおどとして対等にものがいえない態度、この ように多額の負債を負う前に、なぜ現実と向かい合って処理せず、安易にも サラ金から借りて、その金員を返済資金に回していた等、責められるべき点 は多々あるが、当時は返済のことしか頭になく、このような結果となってし まった。
申立人が右のとおり窮状を打ち明けたが、乙雄の怒りは収まらず、申立人 は同人の打擲が恐ろしく、恐ろしさのあまり、同人の「借りている先を書い てみろ」との言葉に、正直にすべてを打ち明けることができず、サラ金4社 計100万円近くの負債のことはついに言い出すことができないでいた。そ のとき、申立人の負債総額は700万円近くにもなっており、その内600 万円は、乙雄の父甲野00、申立人の母丙野乙子が用立て全額借金の返済に 充てた。
今般破産手続を相談した司法書士に「なぜこの時、きれいに整理しなかっ たのか」と叱責されたが、申立人としては、乙雄の怒りが恐ろしく、とても 言い出せる状況ではなく、また700万円の借金の返済は不可能だが、10 0万円の借金の返済は、申立人が身を粉にして働けば、何とか返済できると 愚かにも思ってしまったことが原因である。
以上のように平成0年0月、負債の大部分を親からの援助で返済したもの の、負債の一部が残る結果となり、その後は、乙雄は自分の給料を渡さなく なり、わずかばかりの食費代を渡すだけであるので、この約100万円の高 利の負債は、申立人に重くのしかかり、返済のために、また他のサラ金から 借入をおこすという再度の悪循環に陥り、負債は再び加速度を伴い増加し、 申立人は経済的に完全に破綻してしまった。

四、負債総額と資産
申立人の負債は現在債権者数17名、負債総額約850万円である。これ に対し資産は全くみるべきものがなく支払不能であることは明らかである。

五、申立人は、再びこのような事態となり、サラ金の督促が会社の方にも頻 繁にかかるようになり、会社にいずらいばかりではなく、乙雄も、知るとこ ろとなり、身も縮む思いである。夫婦間の信頼関係は、もう完全に崩壊し、 かといって二人の子供をかかえ、生活すべき術を申立人はもっていないので、 身の置き所がなく、針のむしろに座っている思いで、夜も満足に眠れず、疲 弊しきっている。
よって申立人は、早期に破産宣告をうけて更生致したく、本申立におよぶ 次第である。
添付書類
一、住民票
一、戸籍謄本
一、債権者一覧表
一、財産目録
一、陳述書
一、同時破産廃止の上申書
平成00年0月00日

                                 右申立人(債務者)甲野花子 
00地方裁判所民事第0部御中

              同時破産廃止の上申書
債務者 甲野花子
右の者に対する破産申立事件については、破産財団を構成すべき財産はほとんどなく、破産手続の費用を償うに足りないことが明らかと思われますので、破産の宣告と同時に破産廃止の決定をしていただきたく上申します。

平成00年0月00日

             
                                右債務者      甲野花子 

00裁判所民事第0部 御 中

注意
実際の申立書はB4縦長・縦書きです。陳述書は、破産裁判所の窓口にあります。