破産の構成等

破産の構成

破産制度は次のように構成されています。(いわゆる消費者破産に限りました)
1.破産宣告の申立
2.債務者審尋
3.破産宣告の決定・同時廃止
4.免責の申立
5.免責の審尋
6.免責決定
破産申立から免責決定まで、地域により差はありますが通常1年程度かかります。
破産制度は自分のもっている財産をすべて提供し、そのかわりに負債もなくして しまう手続きですので、財産はそのままにして、借金だけなくすということはで きません。但し、財産といっても、テレビ・冷蔵庫・洗濯機など家庭の必需品に ついては差し押さえができませんので提供する必要がありません。
また老齢年金・厚生年金等の年金も差し押さえることができません。
破産の申立をした後の給料・年金等の収入は原則として自由財産として使うこと ができます。

支払不能状態

自然人(一般の人をこう呼びます)の破産原因は支払不能状態であります。
支払不能状態とは、どういう状態をいうのかということは千差万別です。
たとえ1億円の住宅ローンの借金があっても、支払っていける人は支払不能状態 ではありません。逆に100万円の借金でも、たとえば母子家庭で、まだ子供が 幼く母親が働きにいけず、収入が僅かばかりしかない場合は、支払不能状態とい えます。
一般的には、家族・夫婦の収入が月額20万円ないし30万円で借金総額(但し サラ金等高利の借金が大部分)が300万円を超えていれば支払不能状態といえ るでしょう。但し最近のクレ・サラ業者は金利のみ入金させ月々の返済額を低く 押さえてある業者もいるので注意が必要です。
また、借金返済ために他のサラ金から借り入れ返済資金とすると、日常生活の感 覚では何となく資金がまわっているような気がするものですが、ただ借金が雪だ るま式に増えるばかりですので厳に慎まなくてはなりません。

取り立て行為の禁止

破産宣告の申立を地方裁判所にすると、サラ金等貸金業者は借金の取り立てをす ることを禁止されます。また債務処理の権限を弁護士に委任して弁護士より受任 通知を貸金業者が受けた時も同様に取り立て行為は禁止されます。
したがって多重債務に陥り困窮の極みにいる人でも、きちんとした法的処理をす れば、直ちに取り立ての恐怖からは解放されます。
取り立ての恐ろしさから、夜逃げをしたり、さらには自暴自棄になって自殺する など全く愚かな行為です。
貸金業の規制等に関する法律が、上記のことを規定しているのですが、現在は一 部の悪質業者を除いて、この法律は遵守されていますので安心して法律家の指示 に従ってください。また悪徳業者に対しても断固たる処置をとる方法が、たくさ んありますので一切の心配は不要です。
サラ金業者は大手・中小にかかわらず、破産手続きを選択されることを極めて嫌 い、種々の威圧的言語を弄しますが(例えば、うちは破産なんか関係ない、法的 にはそれでよいとしても道義的には借金はなくならない等々)その言動に破産手 続きをとることをためらったりしてはいけません。
日本は法治国家です。彼らも法に基づいて届け出をしている業者で監督官庁も厳 にあるのです。

免責不許可事由の存在

破産宣告の申立の最終的な目的は免責の決定をとることにあるといっても過言で はないでしょう。
なぜなら破産宣告がでても、それは現在債務者が支払不能状態 にあるという裁判所の認定にすぎないからです。
免責決定がでてはじめて債務者 は借金の返済義務から解放されるのですから、これは当然なことであろうと思い ます。
ところで破産法は、免責の不許可の事由を限定的に列挙しています。もっとも代 表的なものが次の二つです。(すべてを知りたい人は、破産法366条ノ9をみ てください)
1.浪費
2.賭博
バブル景気華やかな頃、マスコミは若年層の浪費が破産者の大半を占めるといっ ていましたが、そのような事実はありません。
例えば、浪費とは、酒場に通い飲 食費で借金の大半をつくったことなどを指すのですが、ではその人はなぜ酒場に 行かなければならなかったのか。何か家庭に不幸があったのではないか。あるい は職場でリストラ・左遷等があったのではないか。その苦しさを忘れようと酒に はしったのではないか。
さらにまた賭博についても、昨今マスコミがさかんに主 婦のパチンコ熱を記事にしていますが、本当に借金の大半がパチンコによるもの なのかはよく検討してみる必要があります。
例え飲食店に通ったにしても、パチンコをしたにしても、この人たちが多重債務 者になった根本の原因はサラ金の高金利にあるはずだからです。
この人たちが、 あの高金利の借金を返済している事実は、とりもなおさず、借金の本体の大部分 が金利だったということです。
ですから、相談を受けた親族の方々等も、これらの事由があるから免責がとれな い、だから破産宣告の申立をしても無意味だなどと決して思わないでください。
またどう解釈しても免責不許可事由に該当する場合であっても、破産宣告の申立 をすれば、その大部分の負債整理ができる場合もあり、さらには一部配当といって、 例えば500万円の負債に対して50万円を債権者に按分分配して弁済することを条件として 免責が許可されることもあるので、決して素人考えで結 論はだすべきではありません。