◇3−2業務関係◇
貸金業者に対する法第3章の規定に係る監督に当たっては、次により取り扱うものとする。
3 −2−1 過剰貸付けの防止
法第13条(過剰貸付け等の禁止)の規定に係る監督に当たっては、次に掲げる事項に留意するものとする。
(1) 過剰貸付けの判断基準
貸金業者が貸付けを行うに当たって、当該貸付けが資金需要者の返済能力を超えると認められるか否かは、当該資金需要者の収入、保有資産、家族構成、生活実態等及び金利など当該貸付けの条件により一概に判断することは困難であるが、窓口における簡易な審査のみによって、無担保、無保証で貸し付ける場合の目処は、当該資金需要者に対する1業者当たりの貸付けの金額について50万円、又は、当該資金需要者の年収額の10%に相当する金額とすること。
(2) 顧客に対し、必要とする以上の金額の借入れを勧誘したり、借入意欲をそそるような勧誘をしてはならないこと。
(3) 無担保、無保証の貸付けを行うときは、借入申込書に借入希望額、既往借入額、年収額等の項目を顧客自らに記入させることにより、その借入意思の確認を行うこと。
(4) 無担保、無保証の貸付けを行うときは、信用情報機関を利用して、顧客の借入状況、既往借入額の
返済状況等を調査し、その調査結果を書面に記録すること。
3 −2−2 取立て行為の規制
法第21条第1項(取立て行為の規制)の規定に係る監督に当たっては、次に掲げる事項に留意するものとする。
(1) 貸金業者又は債権の取立てについて委託を受けた者が、債務者、保証人等を威迫する次のような言動を行ってはならないこと。
@ 暴力的な態度をとること。
A 大声をあげたり、乱暴な言葉を使ったりすること。
B 多人数で押し掛けること。
(2) 債務者、保証人等の私生活又は業務の平穏を害する次のような言動を行ってはならないこと。
@ 正当な理由なく、午後9時から午前8時まで、その他不適当な時間帯に、電話で連絡し若しくは電報を送達し又は訪問すること。
A 反復継続して、電話で連絡し若しくは電報を送達し又は訪問すること。
B はり紙、落書き、その他いかなる手段であるかを問わず、債務者の借入れに関する事実、その他プライバシーに関する事項等をあからさまにすること。
C 勤務先を訪問して、債務者、保証人等を困惑させたり、不利益を被らせたりすること。
(3) その他、債務者、保証人等に対し、次のような行為をしてはならないこと。
@ 他の貸金業者からの借入れ又はクレジットカードの使用等により弁済することを要求すること。
A 債務処理に関する権限を弁護士に委任した旨の通知、又は、調停、破産その他裁判手続をとったことの通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求をすること。
B 法律上支払義務のない者に対し、支払請求をしたり、必要以上に取立てへの協力を要求すること。
C その他正当と認められない方法によって請求をしたり取立てをすること。
3 −2−3 取引関係の正常化
上記のほか、貸金業者の監督に当たっては、資金需要者等の利益の保護を図る観点から、次に掲げる事項に留意するものとする。
(1) 債務者、保証人その他の債務の弁済を行おうとする者から、帳簿の記載事項のうち、当該弁済に係る債務の内容について開示を求められたときに協力すること。
(2) 契約を締結するに際して、契約内容を文書又は口頭で十分説明すること。
(3) 契約を締結するに際しては、次に掲げる行為を行ってはならないこと。
@ 白紙委任状及びこれに類する書面を徴求すること。
A 白地手形及び白紙小切手を徴求すること。
B クレジットカードを担保等として徴求すること。
C 貸付け金額に比し、過大な担保を徴求すること。
D 印鑑、預貯金通帳・証書、キャッシュカード、運転免許証、健康保険証、年金受給証等の債務者の社会生活上必要な証明書等を徴求すること。
(4) 包括契約を締結したとき及び当該包括契約に基づく契約貸付けを行ったときは、そのいずれの場合にも、その内容を明らかにする書面をその相手方に交付すること。また、その書面は、少なくとも両書面を併せてみるときそれが法第17条第1項の要件を充足したものであり、債務者が自己の債務の内容を正確に把握し、弁済計画の参考としうる程度の一義的、具体的、明確なものであること。
(5) バス又は乗用車等の巡回により貸付けに関する業務の全部又は一部を営む行為は、安全性や顧客とのトラブルの発生等の問題があることから、行ってはならないこと。
(6) 顧客の信用情報について、不必要な事項の調査、調査事項の貸付け目的以外への使用等顧客のプライバシーの侵害となるような行為は行ってはならないこと。
(7) 貸金業以外の業務を行っている場合において、当該貸金業以外の業務に関して貸金業者の登録番号を使用してはならないこと。
(8) 社会的に過剰宣伝であると批判を浴びるような過度の広告をしてはならないこと。
(9) 貸付けの利率について、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)に定められた上限利率にかかわらず、自らの経営努力により、可能な限り引き下げ、もって資金需要者の負担の軽減を図るよう努めること。
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