2年前調停離婚した前夫が、調停の際に約束した2人の子供の養育費月合計6万円(
毎月末日支払い)を支払ってくれません。再三催促したのですが、何とかすると言うばかり
で支払をしてくれません。このままでは、将来も支払ってくれるか心配です。どうしたらよ
いでしょうか。
支払うべき義務がありながら再三の請求にもかかわらず支払ってくれないのであれ
ば、強制執行(例えば、前夫の給料に対する差押え)による回収をはかるしかないと思われ
ます。
ところで、養育費のような扶養義務にかかる債権で定期金債権(ご質問のような「毎月末
日に6万円支払う」とされているもの)については、平成16年4月1日の法律改正により、
現在支払時期が来ているが支払われていない分だけでなく、支払時期が来ていない分につい
ても全額支払いに至るまで、債務者(前夫)の継続的給付にかかる債権(給料、賃料等)に
対する差押えができるようになりました。
例えば、平成16年10月1日時点で支払われていない6ヶ月分(月6万円だと合計36
万円)だけでなく、平成16年10月1日以降に支払われるべき養育費についても差押えが
できるようになったのです。法律改正前は、期限が来ている36万円分しか差押えできませ
んでしたから、前夫がまた支払をしなくなった場合には、その時点で強制執行をさらに申し
立てる必要がありましたが、法律改正によりそのような不便はなくなりました。また、差押
えによる回収の範囲も、改正前は所得税等の法定控除後の金額の4分の1が限度とされてい
ましたが、改正により2分の1とされることになりました。
以上の改正により、養育費等扶養義務にかかる定期金債権については、債務者の継続的給
付にかかる債権(給料、賃料など)を対象とする強制執行による回収が容易になったといえ
ます。
私は生活費のためにサラ金から借金をしたことがきっかけで、今では借金総額が200
万円くらいになり返済が困難になってしまったので、自己破産などの手続をしたいと考えて
います。しかし、司法書士に支払う報酬を支払えそうにありません。どうしたらよいのでし
ょうか。
司法書士などの法律の専門家の援助を受けたいが、経済的に苦しくて報酬を支払えない
ので相談や依頼するのを躊躇しているという方も多いと思います。そういう方のために、法
律扶助制度があります。
これは平成12年10月に施行された民事法律扶助法に基づき行われているものですが、
おおまかに分けて@法律相談援助A法律援助(代理援助・書類作成援助)があります。法律
相談援助は1回30分程度の法律相談を無料で提供するというものです。Aは、弁護士、司
法書士(司法書士の場合は、簡裁代理権を認定された司法書士による、簡裁代理権の範囲内
のものに限られます)に代理人となってもらい裁判手続を進めていくことを援助したり(代
理援助)、裁判所に提出する書類作成を司法書士、弁護士に依頼することについての援助
(書類作成援助)のことです。援助の内容は、司法書士等への報酬支払いを法律扶助協会が
本人に代わり立替払いするというものであり、利用者の方は法律扶助協会に分割払いなどに
より返還することが原則です。ただし、生活保護を受給しているなどの事情がある場合のた
めに返還猶予や免除の制度もあります。
いずれも資力要件(相談者とその配偶者の収入合計)が定められています(例 生活保護を
うけている方、年金のみで生活している方、収入がある方の場合は相談者と配偶者の賞与を
含めた手取収入が基準内であること〜単身者→月182,000円以下・2人家族→251,
000円以下など)が、司法書士等の費用支払いが困難であるために相談や事件依頼を躊躇
されている方は、この制度を利用されることもご検討なさったらいかがでしょうか。

知り合いからのどうしてもという頼みに負けてしまい、お金を貸してしまったけれど、
その知り合いは約束通りお金を返してくれません。どうしたらよいのでしょうか。
お金を返してもらうための方法は、裁判手続による方法とそうでない方法の二つに
大きく分けられます。裁判手続によらない方法としては、相手方とご自分で交渉し
てみる方法、弁護士に交渉してもらう方法、そして内容証明郵便によって支払請求
をする方法、それから支払に関する再約束をしてそれを公正証書として作成してお
く方法等があります。しかし相手方が誠意を持って対処する意志を持っていないと
すると、結局具体的な成果を得られないということが多いでしょう。弁護士に交渉
してもらう場合には、相手方も他の方法に比べれば真剣に対応することが期待でき
ますが、いずれにしても相手方が応じない限り返金は期待できません。
そうするといよいよ裁判手続によって貸金の回収を考えないといけないわけですが、
裁判手続を利用する場合でも、まだ話し合いによる解決を望まれる場合に利用でき
るのが民事調停手続です。これはあなたと相手方の間に調停委員という第三者が入
り、双方の言い分を聞きながら問題の解決をえるために話し合いをすすめてくれる
手続です。相手方との直接交渉ではなかなか話し合いがまとまらない場合でも、
「裁判所」という公の場所で、しかも「調停委員」という第三者が入ってくれるこ
とにより、話し合いがまとまる可能性が出てくると言えるでしょう。そこで話し合
いがまとまると、その内容が調停調書という書類に記載されるのですが、これは判
決と同じ効力を持つので、当事者が調停調書に記載された約束に反した場合には
(例えば、相手方が約束通り支払ってくれなかった場合)、その調停調書を使って
強制執行(相手方の財産、例えば動産、預貯金、給料、自動車、不動産等を差し押
さえて、そこから強制的に返金させること)ができます。
しかし、もともと相手方に話し合いの意思などおおよそない場合には、訴訟を起
こすしかないでしょう。この場合、相手方とあなたとどちらの言い分が正しいのか
について、証拠に基づいて裁判所に判断してもらうことになります。そして、最終
的に下される裁判所の判断が判決なのですが、そこであなたが勝訴判決(裁判所が、
相手方に対して「○○万円を山田太郎(貸主)に支払え」と命じること)を得ると、
相手方が任意に支払わなくてもあなたはその判決書を使って強制執行できるのです。
どの方法によって貸金の回収をはかるかは、結局相手方の財産状況、対応、相手方
との人間関係、あなたの問題解決に対する意思の濃淡等により総合的に決められる
ことになると思います。
なお、調停調書や勝訴判決を得ても相手方に強制執行の対象になるような財産が
ない場合には、結局現時点では貸金の回収はできないという結果になりますが、そ
れらに記載された権利は10年間は時効にかかりませんから、調停調書、判決を得て
おけば相手方の財産状況が好転した時を見はからって債権回収することも可能とな
ります。

住宅の外構工事をしたのですが、施主が約束通り請負代金を支払ってくれません。
しかし、相手方は大事な取引先から紹介されたお客さんなので、できるだけ穏便に
解決したいと思っています。どのように対処したらよいのでしょうか。
相手方が約束通り支払をしてくれない場合の対処方法としては、大きく分けて裁
判外の手続と裁判手続の二つに分かれます。
裁判外の手続としては、今まで口頭で請求したに止まる場合には、内容証明郵
便による請求をしてみても良いと思います。相手方にしてみれば、正式な方法に
よる請求がされたということで支払をしなくてはならないと考える可能性があり
ます。ただし、内容証明郵便も、今まで行ってきた口頭や普通郵便による請求も
法律的には同じ意味しか持ちませんので、相手方がそれを見越して依然として支
払おうとしないこともよくあることです。
そのような状態が続くようでしたら、やはり裁判手続によるしかなくなります。
しかし、あなたのようにできるだけ穏便に、つまりできるだけ話し合いを基本に
して解決したいという場合には簡易裁判所における調停手続を利用されたらいか
がでしょうか。これは、双方当事者間に調停委員という第三者が入って、互いの
言い分を聞きながら互譲の精神に基づいて紛争を解決しようとする手続です。話
し合いの手続ですので互いに納得できない場合には解決に至らなくなってしまい
ますが(調停不成立)、調停委員という第三者が入ってくれますし、裁判所とい
う公の場所での話し合いですから、私人間での話し合いよりはまとまる可能性が
高いし、話し合いがまとまった場合(調停成立)にはそれが調停調書という書類
に記載され、その内容(例えば、「請負代金100万円を毎月10万円ずつ支払う」)
に反した場合には、その調書を使って強制執行が可能となります。したがって、
話し合いを基本にして、しかも法律的な解決を得たいとお考えに沿うと思います。

我が家には、子供の家庭教師や学習塾、呉服・金融商品の案内、ハウスクリーニ
ングやエステのお試しサービスなど、様々な勧誘の電話がかかってきます。また、
屋根工事・外壁塗装・床下換気などを勧める業者が突然やってきて、不安になる
ことがあります。これらの業者と『悪質商法』との関係は、どうなっているので
すか。
セールスに電話を多用する業者や訪問販売業者が全て『悪質商法』にかか
わっているのではありません。しかし、『電話』や『訪問』は、消費者の生活圏
に突然乱入して、売買あるいは請負契約をせまるものですから、そこに多くのト
ラブルが生じているのも事実です。
電話勧誘を受けるときに、自分のあるいは家族の個人情報を相手がよく知ってい
ることに気味の悪さを感じたことはありませんか。今、個人の情報は事業者によって
集積され売買されており、事業者は販売促進にこれらを巧みに利用しているのです。
また、新聞・チラシ・雑誌の『求人広告』を注意してみていると、電話や訪問販売を
してくる事業者が従業員を常時募集しているのが目に付きます。「誰にもできる簡単
な仕事・高率歩合給」という内容が多く、中には月収100万円以上可能という記載
も見られます。
電話勧誘や訪問販売による契約については訪問販売法や消費者契約法により解決をは
かりますが、まずは、契約前の十分な注意が肝心です。

これまで近隣の縁者の世話をしてきましたが、私も高齢となりこれ以上看ていく
だけの経済的な余力もありません。私は親族ではありませんが、行きがかり上、放
置することもできません。なにかよい方法はないでしょうか。
市町村には、一人住まいの高齢者の生活を支援してくれる機関があります。比
較 的定額の利用料で家事援助や食事の世話、入浴サービスなどが受けることも可能で
す。本人に収入が無い場合などにはサービス料が減免になるケースもありますの
で、 窓口に相談してみて下さい。
また本人が65歳以上あるいは40歳以上の方で脳血管疾患、初老期のおける痴呆
等、老化に起因する疾病などがある場合には、介護保険によるサービスを受給する
ことができます。この場合、利用サービスの1割が自己負担となりますが、市町村に
よる減免が認められる場合もあります。介護保険制度の認定を受けてみてはいかがで
しょうか。
介護保険制度の利用にあたって、本人の法的意思能力がすでに不足していて介護保
険制度の申立ができない場合、あるいは財産管理などに問題がある場合などは成年後
見制度を利用して下さい。ご相談のケースように本人に親族がない場合には市町村長
による成年後見の申立が可能です。
本人に経済的な資力がまったくなく生活自体が不安である場合には、生活保護な
どの公的支援を検討する必要があるでしょう。市町村による本人の資力、収入などの
調査、親族の有無、扶養義務者などの調査がありますが、住宅などの不動産を有して
いる場合でも、生活保護の基準に該当するケースもあります。

私は半年前に協議離婚をし、現在小学生の子供2人と生活をしています。
元夫は離婚の際に養育費として毎月8万円支払うと約束をしましたが、支払ったの
は最初の3ヶ月だけでその後まったく支払ってくれません。元夫に対する養育費
請求を専門家に依頼して裁判手続で行いたいと考えていますが、私の収入では生
活費が精一杯でとてもその費用まで支払えません。どうしたらよいでしょうか。
専門家に依頼して裁判手続に訴えれば勝つ見込みがあるにもかかわらず、裁判手
続費用を支払う資力がないために裁判に訴えることをあきらめるという方も少
なくありません。このような資力の乏しい方に裁判費用を一時的に立て替え弁
護士を紹介する事業として、財団法人法律扶助協会による民事法律扶助事業が
あります。
この制度は、今までは弁護士に依頼する場合だけに限って適用がされていま
したが、平成12年10月1日民事法律扶助法が施行されることにより、新たに司
法書士に裁判書類作成を依頼する場合の費用(司法書士報酬)についても適用
されることとなりました。
扶助を受けるためには資力要件があり、@生活保護を受けているA年金のみ
で生活しているB無職で無収入C相談者とその配偶者の手取月収(賞与を含む)
が基準額内であること(例えば、3人家族の場合であれば〜299,000円以下、賞
与がない場合は272,000円以下)の、いずれかに該当することが必要です。
ただし、自己破産申立事件の場合は、生活保護受給者又はそれに準ずる場合に
限られます。また、勝訴の見込み(調停申立の場合は、調停成立の見込み、破
産申立の場合は、免責の見込み)がないとはいえないことも要件となっていま
す。扶助を希望する方がご相談になっている司法書士等を通じて法律扶助の申
込をされますと、法律扶助協会が扶助開始・不開始等の決定をすることになり
ます。
なお、扶助を受けられた方は、最終的には扶助を受けた費用を分割で返還し
ていただくことになりますが、返還困難な事情(生活保護を受けている等)が
ある場合には免除等の制度があります。

私の母が死亡したため、母が住んでいた建物が空き家になりました。建物自体
は母のために最近建築したばかりで新しいため、取り壊さないで賃貸に提供した
いと思いますが、契約期間が経過したら必ず返還してもらうためにはどうしたら
よいでしょうか。
従前の借家制度は、契約に賃貸期間の定めがあったとしても、貸主から契約更
新をしない旨の通知をして建物を返してもらうためには、いわゆる正当事由(賃
貸人と賃借人の建物を必要とする事情を比較衡量して、契約更新しないこともや
むを得ないという事情)が必要でした。そのため契約を更新しないために、場合
によっては賃借人に立退料を支払うこともあったわけです。また、一応期限付借
家契約制度もありましたが、所有者が転勤、療養、親族の介護その他やむを得な
い事情がある場合だけに認められており、法定事由がない場合には一般の借家契
約しか認められていませんでした。
ところが、平成12年3月1日以降の借家契約においては、特別な事情がなく
ても、下記要件を満たせば契約更新のない借家契約を締結することが出来ること
になりました。
@借家契約を公正証書等書面によって締結すること
A当該借家契約が更新されない契約であることを記載した書面を交付し、その旨
の説明をすること
そして、借家契約に定められた期限の到来によって借家人に立ち退いてもらう
ためには、その期限終了の1年から6ヶ月前に書面により「借家契約が終了する
旨」を通知することも必要です。
なお、平成12年3月1日以前に締結された契約については従前通りであり、
また従前の契約を一旦合意解約して、同一の建物を目的とする期限付借家契約を
締結することは当分の間は認められません。既存の借家人が、定期借家の内容を
十分理解しないままに定期借家契約を締結して、結果として不利益を受けること
を防ぐためです。

私の父は1年ほど前に死亡しました。遺言書がなかったため、私を含めた兄弟4人と
母とで遺産分割について話し合いを進めていますが、年老いた母の世話をどうす
るかも含めなかなか話が決まりません。どうしたらよいでしょうか。
遺産の分け方については、遺言があればそれに従った分け方が出来ますが、それがな
い場合には推定相続人(ご質問のケ−スでは、亡くなったお父さんの配偶者、
つまりお母さんと、子供であるあなた方兄弟4人)間の話し合いで決めること
になります。もしそれで決まらないのであれば、家庭裁判所における遺産分割
調停手続、または遺産分割審判手続で決めることになります。調停手続の場合
は、調停委員から意見が出されることが当然ありますが、基本的には推定相続
人全員の合意により遺産をどのように分割することも可能です。例えば、その
分割の結果が法定相続分と異なる分け方になることも認められます。しかし、
審判手続の場合は、財産価値的には法定相続分に応じた分け方がされることに
なります。したがって上記の場合、審判手続による分割がされるとしますと、
お母さんのところには遺産の財産価値の半分に相当する財産が具体的に分けら
れることとなります。どちらの手続を選択するかは当事者の自由ですが、調停
手続において話し合いがまとまらない場合には、調停申立の時に審判申立があ
ったものとして取り扱われます。
したがって、ご質問のケ−スの場合、まだ話し合い決着の可能性があり、法
定相続分と異なる分け方を希望されている場合には、まず遺産分割調停の申立
を家庭裁判所にされるのがよいと思います。

当社の取引先が半年分のガソリン等売掛代金の支払をしてくれません。
毎月通常の請求書を送っていますが、らちがあかず、内容証明郵便で請求したら
どうかという知人がいます。内容証明郵便で効果があるのでしょうか。
内容証明郵便というのは、郵便局が郵送された文書の内容及び送付した
日付を証明してくれる郵便のことです。具体的には相手方に送ったのと同じ手
紙の控えが郵便局にも保管されるため、あとからそういう手紙をもらっていな
いと反論された場合に証拠として使えるわけです。ただし、実際に相手方に届
いたかどうかはこの内容証明郵便だけでは証明できませんので、郵便局に内容
証明郵便の送付を申し出る際には必ず配達証明の請求もするべきです。そうす
れば、内容証明郵便の相手方に届いた日付が記載されたハガキが、後日差出人
に届けられ相手方に届いたことの証拠として裁判で使えます。
しかし、内容証明郵便にはそれ以上の効果はなく、相手方がそれでも支払って
くれなければ後は裁判など法的手続に訴えるしかありません。また、内容証明郵
便が届いてから6ヶ月間は時効の期間が止まりますが、その6ヶ月間に訴訟提起、
仮差押、督促手続など具体的な裁判手続を起こさないと、また時効期間が進むこ
とになります。その場合、再度内容証明を送って時効期間をもう1回止めること
は出来ません。つまり、内容証明郵便等による請求を何度繰り返しても、時効進
行を止められる期間は6ヶ月間に限られているのです。

借金の支払いが困難になってきたものですから、先日裁判所に相談に行ったところ、
特定調停手続を利用したらどうかと言われました。普通の調停手続とどのよう
に違うのでしょうか。
特定調停手続は今年の2月17日から施行されることになった新しい調停手続です。
これは借金があってこのままでは破産宣告申立をする必要が出てくるおそれの
ある債務者(法律には「支払不能に陥るおそれのあるもの」「事業の継続に支
障を来すことなく債務を弁済することが困難である法人」と書いてあります)
について、その経済的更生のため債務の内容・支払条件等の変更について話し
合う手続として作られました。
今までの調停手続では、債務者が支払うべき債務元本の確定作業の際に、サ
ラ金との約定利率から利息制限法所定利率に引き直してもらいたいと求めても、
債権者が資料提出をスム−ズにしてくれないなど問題がありました。しかし、
特定調停の場合、裁判所から資料提出の要求があったにもかかわらず債権者が
応じない場合には過料(10万円以下)が科せられることになり、裁判所から
の資料提出請求に強制力がつきました。実際にも、特定調停手続の場合には、
債権者側が資料提出をスム−ズに行うようになったようです。
また、調停申立をしても、債務者の財産に差押など執行手続(例えば、給料
差押)がされると、調停手続の進行に支障が出たり調停成立が困難になること
もあるわけですが、この場合にそれら民事執行を停止することも出来ることに
なりました。
なお、調停成立のためには債権者の承諾が原則として必要であること、調停
成立の内容が記載された調書が作られると、債権者は債務者が約束を守らなか
った場合にその調書に基づいて強制執行できることは、特定調停の場合も今ま
での調停と同じです。

1年前に新築アパ−トに入居したところ、最近大家さんが銀行からの借入金
(アパ−ト建築資金)を返済できなくなり、アパ−トが競売にかけられたとい
うことです。入居者はすぐに退去しないといけないのでしょうか。
担保に入っている不動産が競売にかけられて、ある人に売却されることが決
まる(競落)と、原則としてその不動産についている担保権などの権利は消滅
します。その不動産を使用する権利(例・賃借権)も、その担保により以前に
設定されたものを除き消滅します。あなたがそのアパ−トを借りたのは、大家
さんが銀行に対し建築資金担保のための抵当権を設定した後でしょうから、原
則からいうとその賃借権は競落によって消滅しますから、あなたはアパ−トを
退去することを迫られることとなります。しかし、これには例外があって、た
とえ賃借権を抵当権の後に取得したとしても、その賃借期間が3年以内の場合
にはその満期まではその賃借権は消滅しないとされているのです。そして、ア
パ−トの賃借権存続期間はそのほとんどが3年以内でしょうから、あなたの場
合もその期間が満了するまでは少なくともそこに住むことができるでしょう。
そして、あなたはこれからは家賃をそのアパ−トを競落した人に支払うことと
なり、また退去する際には競落した人に対してアパ−トの部屋を明け渡し、ま
た返還してもらうべき敷金が残っていればそれもその人に請求することになり
ます。なお、競売物件が元々賃貸用であれば、それが賃貸用として商品価値が
ある間はその物件が賃貸に供されるでしょうから、そのまま使用が認められる
可能性も少なくないと思われます。

売渡代金決済のために約束手形を受け取り、銀行を通じて支払呈示をした
のですが、不渡りになって帰ってきました。私もこの手形金をあてにして資金
計画を作っていますので早く効率的に回収できる方法があったら教えて下さい。
手形が不渡りになったとしても、振出人や裏書人としての責任が消滅する
ものではありませんので、あなたはこれらの者へ請求し、回収を図ることにな
ります。しかし不渡りを出すということは、振出会社の資金繰りがにっちもさ
っちもいかない状況にあるということが推測されますから、司法書士等の法律
専門家にご相談のうえ、いち早く法的手段に着手することをお勧めします。
回収のための法的手段は、多くの場合次の手順でなされます。
@ 仮差押の申立 あなたが回収に充てようと目論んでいる財産がある場合、
この財産が振出人等によって勝手に売られたり担保に入れられたりしな
いよう、現状のまま凍結させる手段です。
裁判所に仮差押を認めてもらうためには、通常手形額面の約10%程度
の保証金をあらかじめ法務局に供託しなければなりません。したがって
こちらの用意も並行して行う必要があります。
A 手形訴訟の提起 仮差押をした財産に対し強制執行できる状態にするた
め、裁判を起こします。あなたのように手形金の支払請求を求める場合
には、手形訴訟という大抵1回の審理で終結する簡易・迅速な裁判手続
が利用できます。
B 強制執行の申立 勝訴判決を取った上で、仮差押をした財産に対し改め
て強制執行の申立をします。これによって、めでたく回収が図れるわけ
です。

2週間程前に私は友人のAと海外旅行に行ってきましたが、私はAが旅行
から帰ったらアルバイトして返すからというので、Aの分の旅行代金も私が支
払いました。その後Aはいろいろと言い訳をして、私が立て替えた15万円を
支払ってくれません。友達であるAとのこの問題を、どうしたら穏やかに解決
できるでしょうか。
いくら話し合ってもお金を払ってくれない時は、最終的には裁判手続に訴
えるしかないわけですが、それでも白黒つけるよりは基本的には穏やかに話し
合いで解決をしたいという場合は、簡易裁判所での調停手続を利用するといい
と思います。これは、調停委員という第三者があなたとAとの間に入りお互い
の言い分を聞いて、15万円の支払方法に関し話し合いで問題を解決しようと
いうものです。あなたの抱える問題のように金額的に少なく、また相手が今ま
で友達としてつきあってきた関係であるならば、白黒の決着をつける裁判より
は適当かと思います。
調停手続において15万円の支払方法(例えば5回の分割払い)等について
話し合いがまとまれば、その結果を記載した調停調書というものが作られます。
そして、調書に記載されたとおり支払が実行されなければ、あなたはその調停
調書を使ってAの財産に対し強制執行(例えば、動産の差押、給料の差押)を
することも可能になります。つまり、Aに対する勝訴判決をもらったのと同じ
結果になるのです。
また、昨年の1月からは少額訴訟手続が新設されましたので、30万円まで
の金銭のトラブルについてはこの手続を利用してもいいでしょう。

私はアパ−ト経営をしていますが、賃借人の一人が家賃を5ケ月分滞納し
ていて困っています。毎月のように催促しているのですが、来月支払うと言う
ばかりでらちがあきません。この場合も少額訴訟手続は利用できますか。
少額訴訟手続は平成10年1月から施行された制度で、30万円以下の金
銭の支払いに関する請求に限る訴訟手続であり、原則として1回の口頭弁論
(裁判)で裁判を終了させようというものです。したがって、今まで裁判は
時間も費用もかかるから、特に金額的にも少額のもめ事の場合、裁判手続を
利用するのに躊躇してしまうことが多かったと思われますが、そういう場合
にも少額訴訟手続を利用して法的にきちんと解決されるといいでしょう。
ただし、この手続も裁判手続の一種ですからきちんと証拠があることが求
められますし、しかも裁判は1回しか開かれず、その1回の機会に自分の言
い分を立証するのに充分な証拠を提出しないと負けてしまいますから、事前
の準備をしっかりしておく必要があります。また、30万円以下の金銭の支
払いを求める場合のみに限られますから、ご質問のケ−スで賃借人に対しア
パ−トの部屋の明渡しも求めたいという場合には、少額訴訟手続を利用する
ことはできず、通常の訴訟手続によるしかありません。その他、相手方の所
在が不明で訴状を送達するのに公示送達という方法によらざるを得ない場合、
相手方が通常訴訟による旨の申立をした場合などは、少額訴訟手続は利用で
きなくなります。
したがって、どの手続を利用して滞納家賃を回収すべきかは、専門家によ
く相談して決めることが必要になります。