私は株式会社を経営していますが、最近法務局から「営業を廃止していない」旨の
      届出を出すようにとのハガキが来ましたが、これはどういう意味なのでしょうか。
      出さないとどうなりますか。
      まず、その「営業を廃止していない」旨の回答を出さなかった場合の結論ですが、
      あなたの会社は登記官により解散(営業廃止)の登記が職権でなされることになります。
      つまり、いわゆる「休眠会社」として整理されてしまうのです。
       ご承知の通り、株式会社は少なくとも2年に1回は登記(取締役変更登記他)申請する
      ことになっていますから、5年以上登記がまったく申請されていない会社については既に
      営業が廃止されていることが予測されます。このように、会社としての実体がないのに登
      記簿だけが残っているとしますと、種々の弊害が生じることになります。例えば、その会
      社と類似する商号の会社を作ろうと思っても作れないといった事態が発生することになります。
       そこで、商法にもとづき、最後の登記から5年以上経過している株式会社について、ま
      だ営業をしているかどうかの照会をし、営業を廃止していない旨の届出を出すよう促して
      いるのです。そして営業を廃止していない旨の届出を期日までに出さなかった場合には、
      その会社は実体上解散している(営業をしていない)ものとみなされ、登記官が職権で解
      散登記をするのです。
       このような取り扱いはおおよそ5年に1回くらいの割合で行われますが、今回は今年の
      10月1日時点で最後の登記から5年を経過している株式会社に対してこのような照会の
      ハガキが出されています。そして、12月2日までに営業を廃止していない旨の届を出さず、
      かつ同日までに会社の登記申請をしなかった場合には、登記官が職権で解散の登記をする
      ことになります。なお、その後3年以内に株主総会決議により会社継続をして営業を再開
      することもできます。

   
      会社を作ろうと思っていますが、商号にロ−マ字を使えますか。
      結論から申しますと、平成14年11月1日から使うことができるようになりま した。
       今まで、商号(会社その他商人が営業上使用する名称のことです)には外国文字(た
      とえばロ−マ字)、アラビヤ数字、記号(たとえば、「.」、「−」等)を使えなかった
      ため、たとえ商号が定款に英字表記されていても、登記の際にはカタカナに直して登記し
      ていたのです(ABC株式会社→エイビ−シ−株式会社)。
       しかし、経済の国際化が一段と進み、さらに私たちの身の回りでも様々な表現方
      法が行われるようになったこともあり、会社の名称である商号を日本語だけで表現
      することに窮屈さを感じるようにもなってきました。そこで、上記のように平成14
      年11月1日から、商号の登記について次のような文字、記号が使えるようになった
      のです。使い方の例も挙げてみますので、参考にしてみてください。
      @ロ−マ字〜ABC株式会社・abc株式会社
      *大文字、小文字どちらも使えます。
      Aアラビヤ数字〜123株式会社
      B「&」「’」「,」「−」「.」「・」〜A&B−C株式会社
       *これらは、字句を区切る際の符号としてのみ使用できます。
       現在設立されている会社の商号として、これらの文字、符号を使いたい場合には、
      会社定款の変更が必要な場合もありますので、具体的にはお近くの司法書士にご相談
      ください。

   
      監査役に関する商法改正がなされたようですが、具体的内容を教えてください。
      監査役制度に関する改正を含んだ改正商法の施行日は平成14年5月1日とされ
      ていますが、監査役制度以外の改正部分は、@取締役の責任の軽減A株主代表訴訟
      制度の見直しなどです。監査役制度の改正は、監査役機能を充実させ、経営陣への
      チェックを厳正なものとし、ひいては株主の利益保護をはかろうとするものです。
      ご質問の監査役制度に関する具体的改正内容は主に次のとおりです。
      @監査役任期伸長
       監査役の任期が、「就任後4年内の最終決算期に関する定時総会終結の時まで」と
      なりました(設立後、最初の監査役の任期は従前通りです)。現在は、「就任後3年
      内の最終の決算期に関する定時総会終結まで」とされています。ただし、任期が伸
      長されるのは、「5月1日以降に最初に到来した決算期」に関する定時総会において
      選任された監査役からになります。したがって、決算期(期末)が平成14年5月1日
      以降の会社が、その決算期に関する定時株主を開催し、そこで選任された監査役か
      ら任期が4年になるのであり、それ以外の監査役、例えば、「5月1日以降に臨時株
      主総会で選任された監査役」、或いは「5月1日以降に開催された定時株主総会で監
      査役に選任されがど、その定時株主総会は4月30日以前の決算期に関する総会だった
      場合」は、その監査役の任期は改正前の規定通りであり、改正商法の適用はありません。
       なお、監査役の任期は強行規定ですので、定款に定める必要はありませんが、既
      に多くの会社の定款には監査役に関する任期の定めがあるでしょうから、そしてそ
      こでは「3年」という数字が記載されている場合には、改正商法施行後早めに定款変
      更する必要があります。
      A監査役の取締役会出席義務・意見陳述義務
       監査役に「取締役会に出席し、かつ必要がある場合には意見を述べる義務がある」
      とされました。監査役は会計監査のみならず業務監査、要するに取締役の業務執行
      に関する監査義務もあるわけですが、その機能を一層充実させるための改正です。
      したがって、取締役会に欠席したからといって直ちに監査役としての善管注意義務
      違反、そして結果として損害賠償義務に至るわけではありませんが、やむを得ない
      理由がないにも関わらず欠席したり、必要な意見陳述をなさなかったことにより、
      取締役の違法な業務執行がなされ会社に損害が生じた場合、当該監査役も善管注意
      義務違反を問われる可能性が出ることになります。ただし、株式会社の監査等に関
      する商法の特例法中の小会社(資本金が1億円以下でかつ貸借対照表上の負債が200
      億円未満の会社)には、この規定は適用されません。
      B辞任した監査役の総会出席及び陳述権
       辞任した監査役は、その後最初に招集される株主総会に出席し、辞任した旨及び
      その理由を述べることができるようになり、一方、会社は、その監査役に対し株主
      総会が招集される旨を通知すべきこととなりました。今までも、監査役の選任、解
      任については株主総会において意見陳述ができるとされていましたが、今回の改正
      により、辞任についても同様となりました。これは、監査役が、取締役からの有形
      無形の圧力により意に沿わない辞任をさせられないようにするための規定です。結
      果として、監査役の地位が保障され、監査機能の充実がはかられるわけです。

   
      私が代表取締役をつとめる株式会社はいわゆる「同族会社」で、私以外に
      父と妻 が取締役に就任していました。ところが最近父が死亡したので、
      将来会社を引き継が せたいと考えていた未成年の子供を、亡父の後任
      者として選任することはできますか。
      取締役は、会社経営に関し会社から依頼を受け会社の利益のために職務権限を
      行使するという重大な責務を負わされている存在ですから、取締役を選任するにあ
      たっては相当な資質を備えている者を選任する必要があると思われます。したがって、
      取 締役として未成年者を選任することが妥当かについては慎重な判断が必要になりま
      すが、商法上、未成年であることは取締役の欠格事由にはあげられていませんので、
      未成年者を取締役に選任することに法的障害はありません。ただし、その就任にあ
      たっては未成年者自身に意思能力があること、つまり自己の行為の結果について予測判
      断能力があること、そして未成年者の親権者の同意が必要になります。
       そして、取締役に就任したならば、取締役としての行為に関し親権者の同意が不
      必要になり、またその責任は成年者の取締役と同一のものになります。よって、取締
      役としての職務執行は成年取締役と同一程度の注意義務をもって行わなくてはならな
      いこと(未成年者であることを理由に、注意義務の程度が軽減されるわけではな
      い)、取締役の職務執行に関し重過失または故意により第三者に損害を与えた場合には、
      未成年者の親権者ではなく未成年者取締役自身が賠償責任を負うこととなります。な
      お、名前だけの未成年者取締役に報酬を与えることは、税務署により実質上親に対
      する報酬として認定される可能性もありますので注意してください。

   
      私は、脱サラをして事業を始めようと思っています。会社組織にする場合、
      どのような会社にすればよいのでしょうか。
      会社の種類としては、合資会社・合名会社・有限会社・株式会社の4種類
      があります。合資・合名会社の場合、仮に会社の債務を会社名義の財産で返済で
      きなくなった場合、出資者は(合資会社の有限責任社員を除く)その個人財産で
      支払う必要が出てきますが、有限・株式会社の場合は、あくまでも会社の債務は
      会社の財産で支払えばよく、出資者(株主)が個人財産を提供する必要はない建
      前になっていますが、実際には、会社経営者(取締役・代表取締役)は銀行から
      の借り入れの場合など重要な取引において、会社債務について個人保証を求めら
      れることが多く、多くの中小会社の場合、会社経営者は株主でもありますから、
      結果として株式会社・有限会社にしても出資者が個人財産を提供することがあり、
      合資・合名会社とあまり変わらないということになります。
       しかし、合資・合名会社はその個人商店的なイメ−ジが好まれないためか、
      最近では設立されることがほとんどなく、また企業規模が拡大した後に有限、
      株式会社に直接、組織変更することができないというデメリットがあります。
      そのため、合資・合名会社名義の財産を元手として組織を株式会社等にする
      ためには、一旦合資・合名会社を解散・清算する必要があります。その際、
      会社から出資者への払戻財産が課税の対象となり、せっかく築き上げた財産
      をそのまま株式会社に引き継げなくなってしまうのです。
       したがって、一般的には、有限会社又は株式会社形態を選択されるのがほ
      とんどであり、株式会社の最低資本金の1,000万円を用意することに負担を感
      じたり、最初から3名以上の取締役をおいて経営していくことに不安を感じた
      りするのであれば、とりあえず有限会社形態を選択し、事業規模・経営状況に
      目を配りながら、組織変更によって株式会社となる時機を捉えていくというのが、
      現実的のように思われます。

   
      私は、友人の依頼を受け友人が社長をつとめる会社の取締役に
      名目上ということで就任しました。ところが、その会社が詐欺的商法
      を行ったばかりか、実際に営業をしていた友人(社長)や他の取締役
      も行方不明になってしまいました。そのため、私に賠償請求をしてく
      る被害者がいます。私には賠償責任があるのでしょうか。
      裁判所は、名目上の取締役についても、業務執行している代表
      取締役に対する監視義務(それも、取締役会に上程された事柄以外も含めて)
      があることを認めています。そしてその名目上の取締役が監視義務違反につ
      いて故意または重過失があり、さらにその監視義務違反と損害(今回の場合
      は、詐欺的商法による被害)との間に因果関係があれば、名目上の取締役で
      あるあなたにも賠償義務があるということになります。なお、あなたが監視
      義務を怠ったことについて故意(例えば、あなたが当該会社が詐欺的商法を
      行っている事を知っていて、それにより被害者が出ても仕方ないとして放置
      していた)または重過失(本来ならば、知り得た状況にあったのに大きな落
      ち度によって知らなかった)があったことの立証責任は、賠償請求者側にあ
      ります。
        名目上の取締役に対し損害賠償責任を肯定することが酷な場合も多いとは
      思いますが、一般消費者が詐欺的商法による被害を受けている場合などは、
      消費者保護という考えも考慮に入れた判断がなされるでしょうから、あなた
      の責任が肯定される可能性も想定しておくべきでしょう。いずれにしても、
      名目だけということで軽々しく取締役就任を承知してはなりません。

   
      私は、A株式会社専務取締役として創業者代表表取締役と共に
      長年同社を経営してきましたが、最近創業者との折り合いが悪くなり
      ついに同社取締役を辞任することを決意しました。しかし、創業者は
      私の辞任を承諾してくれません。私は取締役を辞めることができない
      のでしょうか。
      取締役辞任の効力は、その旨の意思表示を会社に伝えることに
      より生じるものであり、会社や代表取締役の個人的承諾を必要とするもので
      はありません。仮にあなたの辞任によりA社定款所定の員数を欠くことにな
      っても、また法律上株式会社は少なくとも3名の取締役を必要としています
      がその員数までも欠くことになったとしても、辞任は有効にすることができ
      ます。そして、辞任の効力が生じたならば、会社にはあなたの取締役退任登
      記をする義務が発生しますが、それもしてくれない場合には会社を相手とし
      て退任登記をするよう裁判を起こすこともできるのです。
       しかし、会社に対し退任登記を命じる判決が出たとしても、あなたの退任
      登記により3名の員数を欠くことになってしまう場合には、法務局の実務と
      してはその登記を受理しないことになっています。株式会社の取締役は最低
      3名必要だとする法律に反する結果となるからです。
      したがってこの場合には後任取締役を選任する必要があるわけですが、現
      実には創業者との対立がありなかなか困難な状況です。結果として、あなた
      が商法237条所定の少数株主であれば最終的には株主総会を裁判所の許可
      を得て招集し後任取締役を選任するか、裁判所に仮取締役の選任を求める必
      要が出てきます。

   
      私は、A株式会社株式1,000株を甲から譲受したいと考えていますが、
      A社は株券を発行していません。どのような手続をとったらよいでしょうか。
      株式会社の株式譲渡は、株券を譲受人に対し交付することによって行
      われることになっていて(商法第205条)、株券発行前の株式譲渡の効力は会社
      に対し生じないとされています(商法第204条)。したがって、原則としてはA
      社のように株券を発行していない会社の場合であっても、まず甲がA社から株券
      を発行してもらい、それを甲があなたに交付し、あなたがその株券を携えてA社
      に対し株主名簿の書き換え(自分がA社の株主になったことを記録してもらう)
      を請求することになるわけです。
       しかしこの原則は、株式会社は会社を設立した時及び新株を発行した時に遅滞
      なく株券を発行しなくてはならないという義務(商法第226条)を会社が履行し
      ていることを前提としています。ですから、もしA社の株券未発行の状態が、株
      券を発行するのに通常必要と思われる期間を過ぎても継続しているというのであ
      れば、株券が発行されていないことを理由にあなた達の株式譲渡の効力を否定す
      ることは合理的でありません(最高裁判所昭和47・11・8判決)。
       あなた達の場合、まず甲がA社に対し株券発行を粘り強く請求してみる必要
      があると思います。にもかかわらず、相当期間の経過後も株券が発行されない
      のであれば、あなた達の間で株式譲渡証書等を整えるなど株式譲渡のあったこ
      とを明確にし、あなたからA社に対し株券発行、株主名簿の書き換えを求めて
      みたらいかがでしょうか。

   
      当社では新規事業開始のため資金融資申込みを銀行にしたところ、
      定款変更が必要だと言われました。どのような手続が必要になるのでしょうか。
      定款というのは、会社の商号、目的、所在場所、取締役他の役員、
      営業年度等、その組織や活動に関する基本的な取り決めそのものを指すわけです
      が、またそれらが記載された文書を示す場合も定款という言葉を使います。そし
      てご質問のようなケ−スで銀行がいう「定款」とは、その中でも会社の「営業目
      的」のことを具体的には指していると思われます。
      そもそも会社は、「営業目的」に記載されている事業及びそれを達成するために必
      要な行為しか行えません。そして貴社の定款の「営業目的」には、新規事業が含
      まれていなかったため、このままでは新規事業のみならず、その事業達成のため
      必要な融資に関する一連の行為も会社としては行えないはずであり、その結果と
      して銀行としても融資実行ができないということになり、今回の定款変更の申し
      入れに至ったというわけです。
       定款の変更は会社の基本的な取り決めに関する重要な変更ですから、株式会社、
      有限会社それぞれ株主総会、社員総会の特別決議が必要になり、また貴社の商号
      と類似する商号の会社がすでに新規事業と同種の事業を行っている場合には、貴
      社の商号を変更しないと貴社としては新規事業を営業目的に追加できません。し
      たがって、あらかじめそのような会社が存在しないかどうか法務局で確認してお
      くことも必要になります。そして、定款変更決議がなされたらその議事録を添付
      して営業目的を変更したとの登記を行い、登記完了後の登記簿謄本を銀行に提出
      することになります。