夫の給料が思うように増えないため、少しでも生活費の足しになる仕事はないかとさがしていた
      ところ、デ−タ入力の仕事を見つけました。ただし、仕事斡旋をうけるためにはトレ−ニングソフト
      を購入して一定レベルに達しなくてはならないと言われたので、業者の言うままにソフト購入契約を
      し、代金支払のためにクレジット契約も締結しました。しかし、その後冷静に考えてみるとソフトの
      代金としては高額(約50万円)ですし、はたして仕事もきちんと斡旋してくれるのか、心配になっ
      てきました。購入から既に1月近く経過していますが、解約できるでしょうか。
      ご質問のような営業形態をとり、物品販売や役務提供をする取引のことを法律では「業務提供誘
      引販売取引」と定めています。例えば、販売対象の商品であるパソコンを使ったり、修得させた技術
      を使った仕事(例えばデ−タ入力)を提供するとの誘い文句で、商品(パソコン)を販売したり、技
      術修得のための研修をさせるものです。要するに、最初に商品購入代金を支払わなくてはいけないけ
      れど、仕事による収益によって代金支払はできるし、それ以上の収益が受けられる、というのがセ−
      ルスポイントなのです。この取引による被害は、購入商品の価格や役務提供の対価が非常に高額であ
      るのに対し、斡旋等されるはずだった仕事が十分に斡旋してもらなかった場合に、約束されたはずの
      収益は得られず、結果として購入者には高額の商品代金の支払い義務だけが残ってしまうという形で
      現れることになります。
       特定商取引法では、このような取引商法による被害防止のために、契約締結前には契約に関する概
      要書面、契約締結後には契約内容を明らかにする書面のそれぞれの交付を義務づけています。その書
      面には、販売対象の商品のことだけでなく、提供される業務について、提供されれる業務によりどの
      程度の収益があげられるのか、購入者が具体的に判断できる程度の情報を記載することを求めていま
      す(例えば、斡旋する業務の量、回数、報酬単価、計算方法等)。
       したがって、このような法律所定の書面が交付された場合に、その日から20日以内であれば、ま
      ずク−リングオフによる無条件解約が可能です。そして、この結果をもってクレジット会社にも対抗
      できることになり、以後のクレジット代金の支払いも停止できることになります。
       また、仮に販売契約書に商品に関する記載のみで、上記のような提供業務に関する記載がないとし
      ますと、仮に契約締結から1ヶ月近く経過していたとしても、いまだク−リングオフ期間(業務提供
      誘引販売取引の場合は、契約内容を明らかにする書面受領から20日間)といえますから、同じくク
      −リングオフによる無条件解約が可能です。
       さらに、約束された仕事の斡旋がなされなかった場合には、債務不履行による契約解除、不実告知
      による契約解除、詐欺による契約取消などによる対応も考えられます。


   
      金融機関からの借金が残っているのですぐに支払をしないと、係の人間を強制回収・強制執行
      に行かせる、また家族や勤務先、近所などにも連絡するといった内容のハガキが来ました。以前借入
      をしたことはありますが、既に終わっているはずです。どうしたらよいでしょうか。
      この種の請求は電話、電報でされる場合もありますが、ハガキでされることが多いようです。
      そして次のような事柄が書かれています。
      @ 金融機関からの借入が残っていて支払がされていないので、その金融機関からの債権回収の依頼を
       受けた(ただし、どこからの依頼なのか、請求金額がいくらなのかについては具体的には書かれて
       いない)
      A すぐに支払をしないと担当者を派遣して、強制執行・担当者による強制回収を行う
      B 担当者派遣、強制執行、強制回収の場合の回収費用、調査費用、交通費一切を含めた費用を請求す
      ることになる
      C また、家族、近所、勤務先等にもこのことを連絡する
      D 連絡先として担当者個人の携帯電話が記載されている
      E 差出人として債権回収会社、あるいは公的存在としてもっともらしい表示(例えば、組合)がされ
      ている。または、受取人を不安がらせるような表示(例えば、○○実業、××興業)がされている。
       結論から言いますと、このようなハガキが来ても支払をしないこと、そして連絡もしないことが対
      処方法になります。このような請求ハガキを出すところは、多くの人々に同じ内容のハガキを出し、
      不安になって連絡してきた人をさらに脅し、金銭を巻き上げることを意図していると思われます。し
      たがって、絶対に連絡をしないということが大事なのです。
       最近はこの他にも請求すべき実態がない「空請求通知」が大量になされているようです。いずれも、
      金額やその明細が明らかになっていない、連絡先として携帯電話しか書かれていない、支払をしなかっ
      た場合には強制回収をするなど、受取人を威嚇することが書かれている、などの特徴があります。これ
      らは通常の請求方法としてあり得ないことばかりです。このような請求が来た場合にはすぐに支払や連
      絡をしないで、まずお近くの専門家にご相談下さい。


   
      今年は破産宣告申立事件が20万件を大幅に超過するなど多重債務者の増加が顕著だということで
      すが、そういう人たちをタ−ゲットにした悪徳商法もはびこっていると聞きました。どういうものが
      あるのでしょうか。
      典型的なものは最近マスコミでも話題になっている「ヤミ金」といわれる業者がありますが、
      それ以外には一括返済のための融資をえさにした次のような詐欺商法もよく見られます。
       債務返済に困り一括返済をして少しでも毎月の返済額を少なくしたいと考えている人が、スポ−ツ
      新聞や投げ込みチラシ等(最近は求人情報誌にも掲載されているようです)に載っていた「一括返済
      協力します」等の業者(多くが東京)の広告を見て、そこへ連絡します。すると、型どおりの審査の
      後に、「一括返済資金を融資するためには、まずあなたの信用を確認したい。そのために○○クレジット、
      ××金融(申込者の近辺のサラ金業者)でそれぞれ50万円を借りてきて、その中から3ヶ月分の返
      済資金(たとえば15万円)だけを手元に残し、残額(85万円)を送金しなさい。そして3ヶ月間
      の返済を完了したら、申込みがされた一括返済資金(たとえば200万円)を融資します」などと言
      われるのです。しかし、3ヶ月後にその業者に連絡しようとしても、その時には連絡がつかなくなって
      いて、そこではじめてお金をだまし取られたことに気づくのです。
       送金したお金を取り戻すことはかなり困難です。なぜならば、相手がどこの誰なのかが不明なことが
      多いからです。送金時の住所、氏名、名称等がわかっていれば、そこにあてて返金請求や告訴意思のあ
      ることなどを書いた内容証明を送ってみるということが考えられますが、その業者とやりとりをして時
      間があまり経過していなければともかく、3ヶ月経過した後に被害回復をするのはかなり困難だと思わ
      れます。警察に被害届を出すべきですが、警察は被害金の回復を直接の目的として捜査するわけではあ
      りませんし、捜査の結果、加害者の逮捕が被害金の即座の返還に結びつくものでもありません。また、
      本人が××金融や○○クレジットからの借入金は、○○クレジット等が東京の一括返済強力をうたった
      業者と通じていない限り、被害者の方が返済しなくてはいけなくなるのです。
       したがって、スポ−ツ新聞、投げ込みチラシ、求人情報誌等掲載の広告で「一括返済協力します」と
      書いてある業者には連絡しないようにしてください。結局、債務整理は専門家(司法書士・弁護士)に
      相談して法的手続を中心にして検討することが肝心だと思われます。


   
      長男が医者に行きたいというので健康保険証を渡したところ、長男はそれを使って私の名義で
      サラ金から借入をしてしまいました。私はサラ金に返済する義務を負うことになるのでしょうか。
      借金に限らず契約上、法律上の責任を負う必要があるのは、自分が承知して約束事をした場合に
      限られるのが原則です。したがって、他人が勝手にあなたの名前を使って契約をしたとしても、
      その契約に関わっていない限り、あるいはその後からその契約を自分のものとして認めること
      (事後承認)をしない限りは、他人が勝手にした約束事に拘束されることはありません。
       しかし、その他人があなたから依頼を受けた(代理権を与えた)と考えられる状況の下で約
      束事をしている場合は、ケ−スによってはその約束事の責任を負う必要が出てきます。ご質問
      のケ−スで、あなたの長男があなたの健康保険証を持っていることが、借金をすることについ
      ての代理権をあなたが長男に与えたものだと判断されるとするならば、あなたは長男のした借
      金の支払い義務を負うことになるのです。
       しかし、これに関しては判決があります。その判決(札幌地裁平成12年3月17日判決)では
      健康保険証は代理権の授与を証明する書面ではないと判断しており、サラ金業者が長男をあな
      たの正当な代理人あるいはあなた本人と信じたとしても、あなた自身はその借金の返済をする
      義務はないということになります。


   
      遺言の方法として公正証書により遺言書を作成するとよいと言われましたが、公正証書とは
      何ですか。どういう点に気をつけるべきでしょうか。
      公正証書というのは、簡単に言えば公証人が作成する証書のことです。公証人は法務大臣が任
      命する特別公務員で、現在の公証人のうちほとんどが、裁判官、検察官、法務局長等経験
      者で占められており、各法務局に所属し各地で公証人役場を開設しています。
       公正証書として作成されるものには、ご質問のような遺言書の他に各種契約書、財産目
      録などがあります。前記のように公証人は元裁判官などの法律家ですから、その人たちが
      法律に基づいて作成した書類は一般的に信頼度が高いと考えてよいわけですが、問題がな
      いわけではありません。
       それは、公正証書の作成当事者は公証人役場に出頭することが原則であり、その際本人
      に間違いないことの確認手段として印鑑証明書の提出を求められることになっていますが、
      逆に印鑑証明書の形式的な提出がありさえすれば、たとえ人違いがあったとしても公証人
      は責任を免れることになるのです。また、公正証書作成に関する委任状を知らないうちに
      とられてしまい、他の理由により提出してあった印鑑証明書とセットにして本人の承知し
      ていない契約書が公正証書によって作成されてしまう問題も起こっています。これも印鑑
      証明書が提出されていさえすれば、公証人の責任が免じられるという制度が原因の一つで
      あると思われます。
       私たちは、公正証書が法律に関する紛争を事前に防止する大きな役割を担っていること
      を認めながらも、それによる問題点にも気づかなくてはなりません。公正証書を作成する
      機会がある場合には、可能な限り公証人役場に出向くようにすること、そしてやむをえず
      代理人によって作成する場合には公正証書作成に関する委任状の内容をきちんと確認する
      こと、そして、理由も明確でないのに印鑑証明書を他人に渡したり、内容を確認していな
      い書類に実印を押すことは絶対にしないようにしなくてはなりません。


   
      私は年金生活をしていますが、最近「年金融資」「高齢者優遇」といううたい文句の金融業
      者のチラシを見かけるようになりました。年金生活も苦しいので、万一の場合利用することも
      考えているのですが、問題はないでしょうか。
      老齢基礎年金、厚生年金、障害者年金などは、そもそも最低限の生活をすべての国民に保障す
      るという趣旨で支給されているもので、社会的弱者や高齢者の生活の基本にもなるもの
      です。したがって、差押禁止財産として指定されていますし、法律によって公的金融機
      関が貸し出す場合(例えば、国民生活金融公庫、年金資金運用基金などが年金受給権を
      担保にして貸し出す場合。この場合は、銀行、信用金庫などが窓口になっています)を
      のぞき、年金受給権を他人に譲渡したり、お金を貸す際に担保としてとることも禁止さ
      れています。したがって、あなたが見かけたチラシの業者は違法な貸付をしていること
      になります。
       そのような業者は、年金受給者から借金の申し込みを受けると、大体年金1年分程度
      のお金を貸し付け、年金証書、預金通帳、印鑑、キャッシュカ−ドなどを預かります(貸
      金業規制法に関するガイドラインにおいては、業者がこのような生活上必要な証書の類を
      預かることを禁止しています)。そして、年金が振り込まれるたびに、業者はご本人の通
      帳から貸金を回収していくのです。ご本人には領収書が発行されることがほとんどないの
      で、返済や途中増額貸付の状況など取引内容が一切わからず、業者のいうがままに返済を
      継続していくことになります。結局、いつになっても自分の年金を自分の生活のために使
      えず、苦しい生活を強いられることになるのです。当然、多重債務に陥り、破産状況に陥
      る危険性もあります。したがって、これらの業者を利用することは大きな問題があること
      を記憶しておいて下さい。
       そして、借りてしまった場合には、まず専門家にご相談いただき、年金振込口座の変更、
      年金証書、通帳等の返還請求等を行い、借金については利息制限法を使うなどして債務整
      理をして下さい。業者が年金証書などを返還しない場合には、貸金業登録をしている監督
      官庁に通告する必要もあります。


   
      24歳の娘が3年ほど前からサラ金からお金を借りてきましたが、娘の収入ではとても返済で
      きなくなってきたので、この際、親が肩代わり返済しようと思いますが、大丈夫でしょうか。
      親御さん(家族)が肩代わり返済することについては、検討しておかないといけないことが
      あります。それは、今回の肩代わり返済により、サラ金からは金輪際借りないという娘
      さんの自覚形成に効果的かどうか、今回の返済によりサラ金からの借金がまったくなく
      なるのか、そして親族の経済的負担が可能な限り最小限に抑えられるのか、といった点
      です。これらの条件が満たされるというのであれば、親族による肩代わり返済も解決方
      法のひとつとなると思われます。
       しかし、一般的には、親御さんが支払ってくれるので娘さんが痛みを感じることは多
      くないでしょうから、自覚形成の可能性には疑問が残りますし、サラ金から借りている
      人は借りていることを隠したがる傾向にあります(借り入れ箇所、借り入れ金額につい
      ては少なめに言う)から、娘さんの借り入れ状況の全部を正確に把握するのはなかなか
      むずかしいでしょう(仮に全部の把握ができたとしても、不安が残る)。さらに親御さ
      んは娘さんのために可能な限り無理をされる傾向がありますから、その経済的負担もか
      なり重くなると思われます。一歩間違えば、娘さんだけでなく、親御さんまでもが多重
      債務に陥る危険性さえあります。したがって、親族の経済的援助を借金問題の解決方法
      として考慮することには、一般名的には慎重にならざるを得ません。
       しかし、ご本人が心細く思っていらっしゃるのは間違いないでしょうから、サラ金か
      らの借金のことをあまり責めることなく、精神的な支えになってあげることが必要で
      しょう。そして、一番大事なことは、ご本人が法律的な解決をすることに意欲を持てる
      ように、専門家のところに相談に行くようにアドバイスしたり、いっしょに行ってあげ
      ることだと思います。そして、専門家の指示により破産宣告申立、特定調停申立、個人
      再生手続、過払金返還訴訟等の裁判手続により解決されるのがよいと思います。


   
      サラ金等からの借入が増加したので、特定調停手続を利用して債務整理をしたいと考え
      ています。特定調停の目的、注意点について教えてください。
      特定調停手続は、破産(支払不能)のおそれがある債務者の経済的更生に資するため、
      債権債務関係の当事者間の利害関係の調整をはかる制度として設けられています。簡単
      に言えば、支払条件(毎回の返済額、返済期間等)の変更を話し合う場なのですが、そ
      の目的、注意点は次のとおりです。
      @債務者が支払うべき残元金が、取引当初にさかのぼって利息制限法によって計算する
      こと(目的その1)
       支払条件について話し合う前提として、債務者が支払うべき債務額は法律に沿った金
      額でなくてはなりません。もっと具体的に言えば、金銭消費貸借の利息に関する基本法
      である利息制限法に従った金利で利息が計算され、元金が確定される必要があるのです。
      しかも、その計算は取引当初にさかのぼって計算される必要があります。業者は、債務
      者が取引資料(領収書等)をあまり保管していないことを僥倖に、最近3年程度分しか裁
      判所に資料提出をしないことがありますが、これでは調停が公正に行われる前提条件を
      満たしていないことになります。一方、申立をする方でも、調停が公正になされるよう
      協力しなくてはならず、できるだけ手許に資料がないかさがす必要があると思います。
      そして、適正な資料に基づいて、取引当初から利息制限法所定利率に基づいて、債務者
      が支払うべき残元金の計算がされるべきなのです。
      A残元金を3〜5年程度の分割で支払うための話し合いをすること(目的その2)
       @の作業がきちんと行われた後で、債務者・債権者間の話し合いにより、債務者の経
      済状況にあった返済計画を立てることが、特定調停の2番目の目的といえます。この時
      には、債務者としては自分の経済能力に沿った返済計画になるよう、自分の収入・生活
      費負担を正確に把握し、そして突然の出費にも耐えられるように無理のない計画にしな
      くてはなりません。「借りたものは返さなくてはならない」のは契約の原則ですが、そ
      れを優先させるあまり自分の経済力に目をつぶって計画を立てると、結果として破綻す
      ることになります。調停がいったん成立すると、その内容は調停調書という書類にまと
      められ、内容が守られなかった場合にはその調書が強制執行の根拠文書として使われる
      ことになりますので、無理な内容で調停をまとめることは避けなくてはならないのです。
      B調停を成立させるため、第三者を不必要に関与させないこと(注意点)
       例えば、自分の経済力だけでは調停成立に至る見込みがないために、第三者(例えば、
      夫、妻、親、子供等の親族)を保証人、連帯債務者等として調停内容に関わらせること
      はできるだけ避けなくてはなりません。なぜならば、そういう条件が調停成立のために
      必要だということは、あなたの経済力が調停を成立させるためには不充分だということ
      を意味し、結果的には将来その第三者があなたに代わって支払うことになる可能性が高
      いからです(あらたなサラ金の被害者を作られることになる)。もし、その第三者も経
      済的に困難な状況にあるとすると、将来破産宣告を受けなくてはならない人が2人にな
      ってしまうのです。第三者を関与させないと調停が成立させられないというのであれば、
      このまま調停をすすめていくべきなのか、それとも破産宣告申立他の手続により債務整
      理をすすめるのかを、慎重に検討すべきだと思います。


   
      私は、サラ金からの借入が200万円ほどになってしまいました。いわゆる任意整理をし
      たいのですが、どうしたらよいでしょうか。
      任意整理とは具体的に何を指すのか曖昧ですが、簡易裁判所の特定調停手続を利用す
      ることでも、債務整理をすることは可能です。そのためには、「利息制限法による元
      金の引き直し計算」をすることが必要です。つまり、サラ金との約束の利率は最高29.2%
      ですが、利息制限法においては例えば10万円から100万円までの借入の場合は最高利率
      が18%と決められていて、それを超える部分約11%(約束利率29.2%−利息制限法所定
      利率18%)は利息としては無効であり、本来利息としては支払う必要のないお金なのです。
      しかし、実際には、サラ金はそのお金を利息として受け取り元金は減らされていませんか
      ら、なかなかあなたの借金残元金が減らないことになるわけです。そこで、その利息とし
      ては無効な部分を元金に振り替えてもらう作業を特定調停手続の中でやってもらうのです。
      これを「利息制限法による元金の引き直し計算」といっていますが、この作業をやって計
      算された金額を3〜5年程度の分割で支払いたいという話し合いをするのが、特定調停手続
      なのです。
       この話し合いには、調停委員という第三者があなたと業者との間に入ってくれますので、
      直接業者と話し合う場合に比べて話し合いがまとまりやすいです。ただし、利息制限法に
      よる引き直し計算が適正に行われる必要がありますので、あなたに相手方業者との取引に
      関する資料がそろっていない場合には相手方から取引明細を取引開始当初から全部を出し
      てもらうことになりますが、業者から提出された資料がこの要件を満たした適正なものか
      どうか、常に注意する必要があります。


   
      私は、12年ほど前にサラ金から借りた覚えがありますが、最近になって残元金とここ
      12年間の遅延損害金の合計約200万円ほど請求されました。一括では到底支払えない
      金額ですが、どうしたらよいでしょうか。
      借りたお金は返さなくてはならないのが、契約上原則であることはいうまでもありません。
      しかし、返してもらうべきお金があるのであれば、債権者として法律の範囲内で適正
      な請求活動をするのは当然であり、それをしないでいきなり不払期間に生じたとされ
      る多額の損害金をプラスした金額を請求することに、債務者として困惑を覚えるのは
      当然のことです。つまり、債務者が誠実に債務を履行しなくてはならないのと同じよ
      うに、債権者もその権利を誠実に行使すべきなのです。大手サラ金業者による、ご質
      問のような請求が時折されているようですが、債権者としての姿勢として適切なもの
      なのか、首を傾げざるを得ません。
       おたずねのケ−スの場合、結論としては時効にかかっているので支払えないと通知
      すればよいと思います。時効期間は、相手方が会社であれば5年、個人業者の場合には
      10年です。したがって、最後の支払をした時、最後に請求を受けた時、もし裁判を起
      こされている場合には裁判が終わった時の、いずれか一番遅い時から計算して上記の
      時効期間(会社は5年、個人業者は10年)が経過していれば、支払請求権は時効にか
      かっていると思われますので、その旨、相手方に内容証明等にて連絡すればよいでしょう。
      その際、気をつけることは、債務の存在を認めるようなことを言ったり、その一部を
      支払わないということです。よく、相手方から、「誠意を示して欲しい」、「少額で
      よいから払ってくれれば支払方法につき話し合いに応じる」と言われ、5,000円、
      10,000円を支払ってしまう方がいらっしゃいますが、この支払により時効の主張が困
      難になることがありますのでお気を付け下さい。ただし、こういう事をしてしまって
      も、あきらめず時効を主張されることを検討されてもよいと思います。


   
      私は生活費のためにサラ金から借金をしてきましたが、合計が200万円ほどになって
      しまい、私のパ−ト収入では返済が出来なくなってしまいました。調停、破産な
      ど法的手続により整理したいと考えていますが、夫や家族に内緒の借金なので打
      ちあけられないでいます。これらの手続は内緒で出来ないのでしょうか。
      破産、調停などを裁判所に申立をしますと、裁判所から申立人に対する連絡は郵便で
      行われます。したがって、その郵便を家族に知られないように受け取ってしまえば、
      結果として家族に内緒でこれら手続を進めていくことが出来るわけです。しかし、
      いつもは仕事で日中不在の夫が、たまたま休暇の時に裁判所からの手紙を受け取
      ってしまうということも可能性としてはあるわけで、申立そのものは家族に内緒
      で行えてもその終了まで内緒に出来るかどうかは保証できるものではありません。
       それよりも、あなたのように生活費のために借金してしまった場合、あなただ
      けの責任ではないことが多いと思われます。家族みなさんが一生懸命働いている
      にも関わらず生活が苦しい場合に誰が責任を取るべきかという観点だけで考える
      のは妥当ではなく、つまり、あなただけが責任を取るべきだと考えるのは問題解
      決にとって妥当ではなく、家族全員が一緒になって考える必要があるのではない
      かと思います。また、家族の協力を得られるということが、あなたにとっても手
      続を進めていく上で心の支えになるはずですし、家族から無理のない範囲内での
      経済的援助を受けられるかもしれません(債務者でない家族から経済的援助を受
      ける場合には、あくまでも無理のない範囲内のものにすることが大事であり、そ
      の範囲を超えてしまいますと、その家族も借金問題をかかえてしまうこともあり
      ますので、慎重にしてください)。
       第三者には理解できない問題もあるのでしょうが、できるだけ家族に話をして
      協力を受けられるようにつとめてみて下さい。